シンデレラ(チェネレントラ)[全2幕] ロッシーニ作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

イタリアオペラ

G. Rossini, La Cenerentola 1816~17
シンデレラ(チェネレントラ)[全2幕] ロッシーニ作曲

 
登場人物

ドン・ラミーロ(T) ダンディーニ(Br) アリドーロ(B) ドン・マニフィコ男爵(B)  クロリンダ(S) ティスベ(Ms) チェネレントラ(アンジェリーナ)(Ms)

概説

 主役全員に難しい技巧が要求される難曲だが、歌手に人を得れば素晴らしい作品であることが理解できる。オペラ・ブッファの傑作のひとつで、24日間で作曲されたといわれる。序曲は前年作の「ガゼッタ」から転用された。

第一幕

 第一場 タリアのサレルノ近郊、モンテフィアスコーネにあるドン・マニフィコ男爵邸の居間。男爵には三人の娘がいるが、腹違いの末娘アンジェリーナはチェネレントラと呼ばれ、母親が死んでからは女中のようにこき使われ、歌うことが唯一の楽しみになっている。
 姉たちにたしなめられながらもチェネレントラが炉端で歌を口ずさんでいると(「昔、一人の王様がいました」)、一人の乞食が物乞いに入って来る。実はサレルノの王子ドン・ラミーロの先生で、哲学者でもあるアリドーロが変装して、王子にふさわしい花嫁を探して旅しているのであった。
 クロリンダとティスベの姉妹は乞食を追い出そうとするが、チェネレントラはそっと飲み物とパンを与える。そこに廷臣たちが現れ、王子が妃選びのための舞踏会を開くと告げると、二人の姉は廷臣たちにチップを与えて、チェネレントラに手伝わせて着付けを始める。
 チェネレントラがそのチップの半分でも乞食に与えたらいいのにと言うと、乞食は良いことがありますようにと言って立ち去る。男爵が現れて娘たちの報告を聞くと(「私の娘たちよ」)、この機会を利用して娘を王子の花嫁にして、傾きかけたわが家を立て直そうと考える。
 三人が奥に入ると、アリドーロの話を自分で確かめようと従者姿の王子が現れる。驚いたチェネレントラは、コーヒーカップを落としてしまう。王子はカップを拾ってやり、優しくチェネレントラに話しかけ、彼女の悲しい身の上話を聞いているうちに二人の間に愛が芽ばえる。
 そこに従者のダンディーニが替え玉の王子としてやって来るので(「四月の蜜蜂のように」)、二人の姉は大歓迎して廷臣たちに守られて宮殿の舞踏会へ向かう。チェネレントラも先ほどの従者に心を惹かれて舞踏会に行きたいが、男爵は許そうとしない。そこに王子と従者に加えてアリドーロもやって来て、三番目の娘も舞踏会に出すよう男爵に口添えするが、男爵は彼女は死んだとか、女中には仕事があるとごまかして彼女を連れて奥に入ってしまう。間もなくアリドーロが再び乞食姿で現れて、正しい者は報われると言い、自分がチェネレントラを舞踏会に連れて行ってあげようと言う。
 第二場 王子の宮殿の一室。偽王子のダンディーニは、クロリンダとティスベの姉妹二人と腕を組んで入って来る。そして、あなたはきき酒ができる人だと言って男爵をおだて、酒蔵の番人に任命する。皆が立ち去ると、姉妹二人は王子に愛されようと浅ましく言い争って別れる。
 第三場 宮殿の大広間。豪華な夜会で廷臣たちに取り巻かれてちやほやされる男爵は、酒蔵番になったと得意げに歌う。王子と従者はすでに姉妹二人を花嫁には不適格と品定めしているが、二人はなおも争って偽王子の関心を引こうとして色目を使っている。
 そこにアリドーロが、ヴェールをかぶったチェネレントラを連れて来る。王子は彼女の声を聞いて、チェネレントラとわかって胸をときめかせるが、何も知らない男爵と姉妹二人は、ヴェールを取った美しい娘が家にいるはずのチェネレントラにあまりにも似ているのにびっくりする。皆が思い思いの気持ちを歌うアンサンブルの中に幕となる。

第二幕

 第一場 王子の宮殿の一室。不思議な美女の出現で不安になった男爵はいらいらするが、どちらの娘が王子の嫁になっても王子の義父になるのだと出世を夢見ている。王子が現れ、彼女はドン・マニフィコの家で会った娘に似ているが、もう一度声を聞いて確かめようとする。偽王子ダンディーニもチェネレントラに好意を抱き、彼女を追ってやって来るので、王子は物陰に隠れる。偽王子はチェネレントラに求婚するが、彼女はあなたの従者の方が好きだと言って断るので、王子は物陰から姿を現し、アリドーロを証人にして彼女に結婚を申し込む。しかしチェネレントラは片方の腕輪を王子に渡し、同じ腕輪をしている自分を見つけた時に、あなたが嫌にならなければお受けしますと告げて宮殿を去る。
 感動した王子は、きっと彼女を見つけ出そうと決意して(「きっと探し出してみせる」)、従者に馬車を用意させる。男爵がやって来て、偽王子にぜひ娘を嫁にとせがむが、ダンディーニは自分は実は偽の王子であり、本当は王子の従者だと白状するので、男爵は怒り出す。
 第二場 ドン・マニフィコ家の暖炉のある部屋。チェネレントラがいつもの姿で歌を歌っている。そこに男爵と二人の姉が帰って来るが、チェネレントラが家にいるので安心する。そして、宮殿の舞踏会にお前によく似た娘が現れたと言って、彼女に当たり散らす。
 その時外は嵐になり、家の外で馬車が転倒する音が聞こえる。王子とダンディーニは助けを求めて近くの家に飛び込むと、そこの主人が男爵なのでびっくりする。チェネレントラも、従者だとばかり思っていた人が王子と知って驚く。
 王子はチェネレントラのもう片方の腕輪を認めて、彼女こそ愛する娘であると確認する。茫然とした男爵と二人の姉はチェネレントラを罵るが、彼女は王子に父や姉たちの許しを請い、王子に連れられて宮殿に行く。
 第三場 サレルノの宮殿の大広間。王子とチェネレントラの結婚式が行われている。二人の幸せをたたえる合唱に続いて、男爵と二人の姉はこれまでのチェネレントラに対する仕打ちをわびるので、彼女も父や姉たちを優しく抱き(「悲しみと涙のうちに生まれて」)、皆の祝福の中に王子に抱かれて玉座に上る。




Reference Materials


初演

1817年1月25日 ヴァルレ劇場(ローマ)

原作
シャルル・ペロー/「サンドリヨン」

台本
ヤコポ・フェレッティ/イタリア語

演奏時間 
第1幕91分、第2幕55分(シャイー盤CDによる)

参考CD
●ベルガンサ、アルヴァ、カペッキ/アバド指揮/ロンドン響、スコティッシュ・オペラ唱(DG) 
●バルトリ、マッテウッツィ、コルベッリ/シャイー指揮/ボローニャ市立劇場管・唱(D)

参考DVD
●バルトリ、ヒメネス、コルベッリ/カンパネッラ指揮/ヒューストン歌劇場管・唱(D)



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