オテロ[全3幕] ロッシーニ作曲

HOME > メディア > 詳解オペラ名作217 > オテロ[全3幕] ロッシーニ作曲
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

オペラ名作217 もくじはこちら
詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

イタリアオペラ

G. Rossini, Otello 1816
オテロ[全3幕] ロッシーニ作曲

 
登場人物

オテロ(T) デズデーモナ(S) イアーゴ(T) ロドリーゴ(T) エミーリア(S)  エルミーロ(B) 総督(B)

概説

 今日では「オテロ(オテッロ)」といえばヴェルディの作品があまりにも有名であるが、この「オテロ」はヴェルディの「オテロ」が生まれるまでは名作として高く評価されていた。二重唱やアンサンブル主体のこのオペラは、ヴェルディの作に比べると劇的な表現にはやや欠けるとはいえ、当時の様式を踏まえた技法は冴えている。また主役男声三人がいずれもテノールであるのは、ヴェルディに比べてユニークな特徴ということができる。
 序曲は1814年作の歌劇「シギスモンド」からの改作転用である。

第一幕

 第一場 ヴェネツィアの総督宮殿の大広間。トルコ軍をキプロス島から駆逐した将軍オテロが間もなく凱旋するので、広間にはエルミーロをはじめとして大勢の貴族が集まり、民衆は海岸を望む広場を埋め尽くしている。 船から上陸したオテロは、総督の前に進み出る。総督はオテロの勲功をたたえて、望みの褒美を何でも取らせると言う。アフリカ生まれの黒人オテロはヴェネツィアの市民権を望み、それが認められる。総督の息子ロドリーゴは、それに激しいショックを受ける。なぜならば市民権を得たオテロは、デズデーモナと結婚する資格を得ることになるからである。 貴族たちが祝宴に立ち去ると、ロドリーゴはかねてから恋心を抱いているデズデーモナの父親エルミーロに話しかけるが、彼も娘の心を計りかねている。そこにオテロに嫉妬するその部下イアーゴが現れてロドリーゴに近づき、オテロを陥れる計画を持ちかけて一通の手紙を渡す。

 第二場 エルミーロの家の一室。密かにオテロと結婚の契りを交わしていたデズデーモナは、彼が戦地にいる間悲しい時を過ごしていた。侍女のエミーリアが彼女を慰めるが、デズデーモナはかつてオテロに宛てて書いた手紙が父親に見つかって取り上げられたことを気にかけている。それには宛先が記されていなかったので、彼女はロドリーゴに宛てたものだと言い訳したが、その手紙が現在どこにあるのかわからないので不安を感じている。イアーゴが現れるので、彼を嫌うデズデーモナは立ち去る。イアーゴは昔彼女を愛していたことがあるが、彼女が今はオテロを愛しているのを恨んでいることを独白する。 豪華な祝宴が終わって、ロドリーゴとエルミーロが現れる。エルミーロは娘が黒人のオテロと結婚するよりも総督の息子のロドリーゴと結婚することを望み、娘を彼に与えることを約束している。エルミーロに手をとられたデズデーモナは、ロドリーゴとの結婚を承認するように求められるので悲しみに沈む。オテロが姿を現わし、エルミーロにデズデーモナとの結婚を認めてくれるよう申し出る。エルミーロは娘がすでにオテロと結婚していることを知って娘を呪い、ロドリーゴはオテロに激しい復讐の念を燃やす。

第二幕

 第一場 エルミーロの家の一室。ロドリーゴがやってきて、デズデーモナにもう一度自分との結婚を考えてくれるように言い寄るが、彼女はすでにオテロと秘密裏に結婚していると伝えるので驚き、オテロに激しい敵意を抱く。ロドリーゴがあまりにも興奮して帰っていったので心配になったデズデーモナは、オテロにすぐ会いに来てくれるよう侍女のエミーリアに伝言を頼む。
 第二場 オテロの家の庭。一方でオテロは、デズデーモナがロドリーゴと結婚するのではないかと疑いを抱き始める。そこにイアーゴが現れて、デズデーモナが書いた一枚の手紙をオテロに見せる。それをロドリーゴに宛てたものと誤解したオテロは逆上して激しく彼女を罵り、必ずや彼女を殺してやると叫ぶ(二重唱「俺の目はごまかせぬ」)。イアーゴは自分の奸計の成功にほくそ笑む。 イアーゴと入れ替わりにロドリーゴが現れる。彼はデズデーモナがオテロと結婚してしまったことを知り、オテロとの友好関係を取り戻そうとする。だが嫉妬に狂ったオテロがロドリーゴに決闘を挑もうとしたところに、デズデーモナが駆けつけて二人の間を仲裁しようとする。しかし自分を見失ったオテロは彼女の懇願にも耳を傾けず、ロドリーゴと決闘するために出ていくので、デズデーモナは気を失う。エミーリアが駆け寄って彼女を助け起こすが、デズデーモナはオテロの身を案じている。集まって来た人からオテロの無事を聞いたデズデーモナは一安心するが、彼女の前に現れたエルミーロはお前に天罰が当たるだろうと言い、名誉を傷つけられた怒りを表す。


 第三幕


 デズデーモナの寝室。エミーリアは悲しみに打ちひしがれたデズデーモナを優しく慰める。外からゴンドラ漕ぎの悲しげな歌が聞えると、彼女は失恋して悲しんでいた昔の小間使いイザウラを思い出して歌う(「柳の歌」)。エミーリアが退いた後、デズデーモナは神に祈りを捧げてから眠りにつく。短剣を手にしたオテロが部屋に入った時、激しい雷鳴の音でデズデーモナは彼に気づき、「いとしい人」と言って目を覚ます。彼女は夫の形相に驚いて無実を懸命に訴えるが、息詰まるやり取りの末、オテロは彼女を殺してしまう。 その時部下が駆け込んできて、イアーゴの悪事が暴露されたことを伝え、エルミーロやロドリーゴもやって来てオテロに対する誤解を詫びる。しかし、オテロはもう手遅れだと言ってベッドで死にゆくデズデーモナの姿を見せる。オテロは自分の早まった行為を償おうと、愛する妻の手を握ったまま自分の胸に短剣を刺す。




Reference Materials


初演

1816年12月4日 フォンド座(ナポリ)

原作 
ウィリアム・シェイクスピア/「オセロ」

台本
フランチェスコ・マリア・ベリオ/イタリア語

演奏時間 
第1幕70分、第2幕46分、第3幕36分(下記CDによる)

参考CD
●カレーラス、フォン・シュターデ、パスティーネ、フィシケッラ/ロペス=コボス指揮/フィルハーモニア管、アンブロジアン・オペラ唱(PH)

ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  






  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 
KAWAI
YAMAHA WEBSITE