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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より
イタリアオペラ
P. Mascagni, Cavalleria Rusticana 1888~90
カヴァレリア・ルスティカーナ[1幕] マスカーニ作曲
❖登場人物❖
サントゥッツァ(S、Ms) トゥリッドゥ(T) ルチア(A) アルフィオ(Br) アルフィオの妻で、トゥリッドゥの元恋人ローラ(Ms)
❖概説❖
現実主義とも呼ばれるヴェリスモ・オペラの代表作であると同時に、マスカーニの代表作でもある。コンクールに応募した処女作であるが、以後これを凌ぐ作品を書くことはできなかった。
❖概説❖
現実主義とも呼ばれるヴェリスモ・オペラの代表作であると同時に、マスカーニの代表作でもある。コンクールに応募した処女作であるが、以後これを凌ぐ作品を書くことはできなかった。
内容的にも時間的にも都合がよいので、レオンカヴァルロの「パリアッチ(道化師)」と組み合わせて一夜に上演されることが多い。なお題名は「田舎の騎士道」という意味で、間奏曲を挟んだ一幕ものである。
![カヴァレリア・ルスティカーナ.png](/dcms_media/image/%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%82%99%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%8A.png)
「カヴァレリア・ルスティカーナ」2006年 写真提供:新国立劇場 撮影:三枝近志
シチリア島の村の広場。幕が上がる前の前奏曲の途中で、舞台裏から村の伊達男トゥリッドゥが歌うシチリアーナが聞こえる(「おお、ローラよ」)。これは昔の恋人ローラをたたえる恋の歌である。
幕が上がると、復活祭の朝である。村人たちが次々と広場に集まって来て、春の自然をたたえながら教会の中に入って行く(「オレンジの花は香り」)。
人々が去った後、村娘サントゥッツァが現れて、恋人のトゥリッドゥはどこにいるのかと彼の母親である居酒屋の女将ルチアに尋ねる。ルチアは、息子は酒を仕入れに行ったとあいまいに答えるが、サントゥッツァが昨夜この村で彼を見た者がいると言うので、ルチアは驚く。
そこに馬車屋のアルフィオが鞭(むち)の音をさせ、鈴の音を響かせて元気よく現れ(「駒は勇んで」)、村人たちに取り囲まれる。彼はルチアにいつもの酒を注文すると、ルチアは今息子が仕入れに行っているところだと言うので、アルフィオは今朝家の近くで彼の姿を見かけたといぶかる。驚いたルチアが何か言おうとするのをサントゥッツァが遮る。
教会から祈りの声が聞こえ、皆が教会に入ってしまうと、サントゥッツァはルチアに、戦争から戻ったトゥリッドゥは昔の恋人で彼の留守中にアルフィオの妻になったローラとよりを戻して自分は捨てられたと苦しい胸の中を激しく訴える(「ママも知るとおり」)。ルチアはサントゥッツァのために祈りを捧げようと教会に入る。
一人残ったサントゥッツァの前にトゥリッドゥが通りかかる。サントゥッツァは激しい嫉妬にかられて彼に迫るが、彼はまったく取り合おうとしない。その時ローラが陽気にやって来るので、トゥリッドゥは取りすがるサントゥッツァを突き倒してローラとともに教会に入ってしまう。
サントゥッツァは激しい怒りで呪いの言葉を吐く。そこにアルフィオが現れ、サントゥッツァは問われるままにローラとトゥリッドゥとの関係を話してしまう。アルフィオは復讐の念に燃え、サントゥッツァは話したことを後悔するがもう遅い。
〈間奏曲〉
教会のミサが終わって人々が出て来て、家路につく前にルチアの居酒屋に立ち寄る。トゥリッドゥも友人たちと楽しく酒をたたえる(乾杯の歌「泡立つぶどう酒ばんざい」)。そこにアルフィオが現れて、トゥリッドゥが差し出す酒を拒絶し、彼との口論が始まる。異様な雰囲気に、女たちはローラを連れて立ち去る。
すべてを察したトゥリッドゥはアルフィオの決闘の申し出を受け入れ、シチリアの風習に従って彼の右耳を噛む。トゥリッドゥは自分の非を認めながら、決闘の結果一人残されることになるサントゥッツァを思うが、アルフィオは、裏のぶどう畑で待っていると言って去る。
トゥリッドゥは酒をあおって母ルチアを呼ぶ。酔った振りをしてそれとなく母に別れを告げ(「母さん、あの酒は強いね」)、自分が死んだらサントゥッツァの面倒を見てくれるよう頼む。そして絶望的に決闘場の方へ走り去って行く。ルチアは事情がわからずに、現れたサントゥッツァと抱き合う。
一瞬の静寂をはさんで悲鳴が聞こえる。一人の女が「トゥリッドゥが殺された」と遠くから叫びながら駆け込んで来る。サントゥッツァは気を失って倒れ、ルチアもおびえて気が遠くなり、人々に支えられる。一同恐怖の叫び声で幕となる。
Reference Materials
初演
1890年5月17日 コスタンツィ劇場(ローマ)
原作
ジョヴァンニ・ヴェルガの同名短編小説
台本
ジョアンニ・タルジョーニ=トッツェッティ、グィド・メナッシ/イタリア語
演奏時間
81分(カラヤン盤CDによる)
参考CD
●コッソット、ベルゴンツィ、マルティーノ、グエルフィ/カラヤン指揮/ミラノ・スカラ座管・唱(DG)
●カラス、ディ・ステファノ、カナリ、パネライ/セラフィン指揮/ミラノ・スカラ座管・唱(EMI)
参考DVD
●ウルマーナ、ラ・スコラ、コルテス/ロペス=コボス指揮/マドリード王立劇場管・唱(DEN)
●コッソット、チェッケレ、グエルフィ/カラヤン指揮/ミラノ・スカラ座管・唱(DG)
ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止
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