楽器の事典ヴァイオリン 2章 オールド・ヴァイオリンの名器 35 彼の作った楽器 

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[画像]アンドレア・ガルネリのヴァイオリン1694年 ミラノ・スフォルツァ城博物館

彼の作った楽器

 アッドレア・ガルネリの現存する楽器にはオリジナリティに富んだものが多い。
 彼は、芸術家というより、むしろ有能な職人であった。大金を稼いだ
ことは一度もなく、高価な材料を入手できず、地元の楓を使ったと伝えられている。作り出した楽器は250本程度で、その殆どがヴァイオリンで、ヴィオラとチェロはわずかである。
 彼の楽器について賞讃の言葉が多く残されているが、それらは、後世の人びとが、売るためあるいは値段をつり上げるために響影したものが多く、仕上りはあまり優れているとはいえない。ニスは油ニスで、二コロ・アマティのものに似て、茶褐色や琥珀色で、美しいものであったが、必ずしも透明ではなく、固過ぎるものが多いといわれている。
 音色は、輝やかしさが不足しており、音量もレスポンスもあまり好ましいものではないとの記録もある。
 アンドレアの作った楽器のなかで最も優れたものはヴィオラであった。その形態はマジーニのものに似ていて、美しくバランスがとれていて、音色は深い響きをもっていた。多分、当時のクレモナで作り出されたヴィオラの随一のものといえるであろう。なお、チェロも、その頃の習慣通りに、大小2種類のサイズのものを作っていて、その品質は素晴らしいものであったと伝えられている。
 サラサーテは、最初の頃、アンドレアーガルネリのヴァイオリンを使っていた。


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止



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