楽器の事典ヴァイオリン 2章 オールド・ヴァイオリンの名器 31 残ったものはヴァイオリンだけ

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残ったものはヴァイオリンだけ

 ストラディヴァリ・フアミリーは、1781年にこの世を去ったアントニオに至るまで、すべてサン・ドメニコ寺院に葬られた。ところがこの教会は1869年に、修復の予算がないために破壊されてしまい、埋葬されていた骨は、誰のものとも解らず、バスケットに入れて市の郊外に埋められてしまった。一説に無残にも、川に投げ捨てられたともいわれている。彼が長年働いた家も、1928年にムッソリーニ政府によって潰され、跡にビルが建てられてしまった。
 なお、彼の仕事場も、1888年に改築され、さらに1930年代に破壊され、現在新しいビルとなり、その壁にプラーク(金属の小碑)が飾られているだけである。
 墓石だけが残されているが、死亡の年代も異なり、本物かどうかも判定できない

 SEPOLCRETO
 ANTONIO STRADIVARI 
 SEPPLCRETO
 ANNO 1729
(SEPOLCRETOとは、イタリア語で古い墓所のこと)

 結局残ったのは全世界に流出した彼の名器だけだったのである。

何本のストラディヴァリウスが残されているか.png


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止



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