楽器の事典ヴァイオリン 2章 オールド・ヴァイオリンの名器 30 クレモナ市について

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クレモナ市について

  クレモナはヴァイオリンの「揺り籃」といわれている。つまり、現在世界中のヴァイオリン奏者が渇望しているイタリアのオールド・ヴァイオリンの発祥の地なのである。
 紀元前218年にローマ軍が見付け出したと伝えられる古い都市で、ミラノから南東に約70キロ余り、ロンバルディ地方の寺院が多い都市で、その寺の絵画やフレスコ画で知られている。
 現在は大口約85000人の静かな田園都市で、1962年に、「クレモネーゼ」という1715年のストラディヴァリがただ1本、ロンドンのヒル商会から買い戻されて、シティ・ホールに展示され、1938年にヴァイオリン製作学校が設立されただけで、それまでは往時の最後のクレモナの巨匠であったエンリコ・チェルティが1883年にこの世を去って以来、ヴァイオリンと無縁の都市となっていたのである。
  
 (注) クレモナには「クレモネーゼ」 1本と2本のアマティ(アンドレア・アマティ1566年、二コロ・アマティ1658年)が残っているだけで16世紀から19世紀にかけて作られた名匠の楽器はすべて世界中に散らばってしまっている。
 (注) 1715年のストラディヴァリウスはヨーゼフ・ヨアヒムが持っていたもので、彼は生前に少なくとも8本のストラディヴァリウスを持っていたと伝えられている。
 
 現在のクレモナは、ストラディヴァリウス時代の都市とは全く変り果てているといわれている。


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止



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