
「日本の世界の音楽コンクール全ガイド」もくじはこちら
「日本の世界の音楽コンクール全ガイド2018年版」本の詳細はこちら
都市 エットリンゲン
日程 2018年8月4日~ 12日
審査部門 ピアノ
年齢制限 カテゴリー A:2002 年 8 月 4 日以降に生まれた者、カテゴリー B:1997 年 8 月 4 日以降に生まれた者
申込期間 2018年1月1日~ 5月4日
賞・通貨ユーロ カテゴリー A: 1位:3,000 2 位:1,500 3 位:1,000 4 位:750 5 位:600 カテゴリー B: 1位:6,000 2 位:3,000 3 位:1,500 4 位:1,250 5 位:1,000
開催周期 2年ごと
問 Ettlingen Int. Competition for Young Pianists
c/o Musikschule Pforzheimer Str. 25 76275 Ettlingen ,Germany
Tel:+49(0)7243-101-311 Fax:+49(0)7243-101-436
info@pianocompetition.org www.pianocompetition.org
「日本の世界の音楽コンクール全ガイド」もくじはこちら
「日本の世界の音楽コンクール全ガイド2018年版」本の詳細はこちら
月刊ショパン2018年11月号 p.97より転載
世界のコンクール便り vol.64 文/アーリンク明美
第16回 エットリンゲン青少年国際ピアノコンクールまるでおとぎ話に出てきそうな可愛い街、ドイツのエットリンゲン。そこで1988年から二年毎に開催されているコンクールの過去の入賞者には、ラン・ラン、ユジャ・ワン、リーズ・ドゥ・ラ・サール、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ、日本人の上原彩子、河村尚子をはじめとする、現在活躍中のピアニストらが名を連ねている。それも影響してか、現在は若いピアニストの登竜門のとして世界中で注目されており、今回の申込者数は、なんと340 名。
[カテゴリーA(15歳以下)=191名、カテゴリーB=149名(20歳以下)]そして、申込者数がトップの国は中国で85名。この度、筆者はカテゴリーB の予選通過した56名(1 名棄権)の、ほぼ全員の一次予選の演奏を堪能。客席は熱気と期待に満ちあふれていた。
右上の写真:カテゴリーAとBの入賞者、芸術監督のロベルト・ベンツ氏、主催者のフランク・ライヒ氏ら
今年の夏は世界中異常気象で、日本も厳しい暑さや台風でかなり大変だったようだが、ヨーロッパでは南よりも北の方が例年より暑い傾向にあった。しかもヨーロッパの建物の多くはエアコンが完備されておらず、このコンクールの会場である綺麗なフレスコ画が魅力的なエットリンゲン城のホールもほぼサウナ状態。参加者はもちろん、審査員もさぞかし大変だったことであろう。そのような状況下、若いピアニストたちはエネルギーを音楽へ捧げ、素晴らしい演奏を披露。
演奏水準がますます高くなっていた印象の今回、その中で12名のファイナリストに選ばれるのは容易なことではない。優勝はウクライナ人のオレクシイ・カンケ。一次予選の出だしのバッハ:《平均律第1巻第22番ロ短調》から、彼の内省的かつ訴えかけるような表現に目頭が熱くなった。こうしてさまざまな国の若いピアニストの演奏を聴き比べてみると、ヨーロッパ出身のコンテスタントたちのバッハの多くの演奏の中には、宗教的な背景を感じる。2 位のヨナス・オーミラー、3 位のオンドジェイ・ザバディル共に、ラフマニノフの作品の演奏が際立って良かった。彼らが将来どのように羽ばたいていくか楽しみだ。
左:入賞者コンサートで演奏する、優勝のオレクシイ・カンケ
右:カテゴリーBの入賞者たち。左からオレクシイ・カンケ、ヨナス・オーミラー、オンドジェイ・ザバディル、レベッカ・ルング、ザン・シャオルー、ルーカス・シュテルナット、ジェイ・ミョン