野球部を行く!第3回多摩大学附属聖ヶ丘高等学校野球部「短い練習時間で2014年は夏の大会ベスト16」

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野球部を行く!第3回多摩大学附属聖ヶ丘高等学校野球部「短い練習時間で2014年は夏の大会ベスト16」

多摩大学附属聖ヶ丘高等学校は、東京多摩地区の進学校として知られる。また、スクールバスを使用する生徒も多く、部活動の終わりの時間が決められている。 この野球部もそうだ。平日の練習終了時間は18:00。だいたい部活動が始まるのが16:00なので、練習時間は約2時間。 かなり短い部類だと言えるだろう。

しかし、この短い練習時間の中でも、2014年の夏の大会ではベスト16まで勝ち進んでいる。所属する西東京大会で言えば5回戦。1回戦からだと4回、シードだとしても3回連続で勝ち上がる必要があるため、好成績を残したということは間違いない。 では、そんな短い練習時間の中でもベスト16という結果を残せた秘密とは? 監督と選手に話をうかがってきた。

省くところは大胆にカット。現状の課題に対して最短距離でアプローチ

授業が終わり、選手たちがポツポツとグランウンドに集まってきた。その後外野手が集まって外野ノックを始めている。最初は「アップまでの遊びのつもりなのかな〜」という風に見ていたが、これがなかなか終わらない。15~20分くらいだろうか。かなりしっかりと外野ノックを行っていた。
「うちはサッカー部と共用でグラウンドを使っているので、サッカー部が広く使っていないこの時間しか外野ノックができないんです。アップですか? 平日は全体のアップを省いています。選手達はこの時間まで学校生活をおくっているわけですから、体自体は起きているはずなんです。ただ、全体練習の前に各自必要な部分はストレッチするように言ってあります」
そう話してくれたのは本村哲郎監督。多摩大聖、そして日大、セガサミーと進み、捕手を務めた。「高校野球の指導者になりたい」という思いから、教員に転職。母校に戻り監督を務めている。
本日の取材で一番聞きたかったこと。それは、「どの練習に一番重きを置いているか?」ということだ。本村監督はこう答える。
ランナーを想定した投内連携だけは、必ず毎日やっています。ここが甘いと失点に繋がるケースが多いんですね。なので第一にここを強化。逆に言うとシートノックだとか形式ばったことはあまりやっていません
とにかく実践的な練習、そして常に頭を使いながら練習することによって試合に必要な判断力を集中して身につけるということだ。おそらく投内連携だけで全体の3分の1の時間は使っていたと思う。そのぐらい多摩大聖ではを投内連携重視している。 「私が口を出すのはこの投内連携だけですね。その他の練習は自主練にあてることが多いです。その時には、選手が各自もっている課題に対してどのようにアプローチしているかという『取り組み方』の部分を見ています。試合で課題が露呈したとき、今後の練習でどうクリアしていくか、選手はその部分をどう考えて練習に取り組めているかを見ていますね」
自身の経験からも自主練習は「上達するチャンス」と言い、そして選手には「今本当に必要な練習」をしてほしいと本村監督は話す。 例えばこんな話も。ある試合で走塁が課題として見つかった。次の練習日、監督が何も言わずとも、選手のほうから自主練習の時間をチームの走塁練習にあてたことがある。個人として必要なこと、チームとして必要なこと。広い視野で現状をみれるようになるとチーム力としても上がってきたという実感が湧いてくるそうだ。 多摩大聖の練習は、とにかく切るところは大胆にバッサリと切って、現状抱えている課題に対して最短距離でアプローチしているなという印象をうけた。これが多摩大聖を支える練習哲学だ。

走塁を基盤とした打撃のチーム

新チームになった多摩大聖。今年のチームは「走塁を基盤とした打撃のチーム」を目指すという。 「全体として打力が高く、下位打線でもセーフティバントを仕掛けたり足を絡めた攻撃がチームの売りです」と主将の井上くん(2年)。投手陣の課題としてエースの守屋くんは「秋はスタミナ不足が課題として見つかったので、下半身の強化と投げ込みをしっかり行い、来春には完投できるような選手になりたいです」と話してくれた。
最後にチームの目標は「夏の大会ベスト8」と井上くん。本村監督も、「まだまだチームとして出来上がっていないですが、その分伸びしろはあると思います」と期待を寄せる。 限られた練習時間の中、そして勉強との両立の中、多摩大聖がどのような野球を見せてくれるのか、注目していきたい。
(文・取材◎伊藤文人)

〔学校情報〕
多摩大学附属聖ヶ丘中学・高等学校 〒206-0022 東京都多摩市聖ケ丘4丁目1-1
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