第1ステージ3日目が終了しました。今日の夜には第2ステージへ進むコンテスタントが発表されます! 結果はいかに…⁉ 私はホールの後方で観戦しているので、審査員の方々の後ろ姿がよく見えます。彼らが鉛筆を走らせているのを見ると、「どうか良いことが書かれていますように!」と願わずにはいられません……!
さて、このコンクールでは「エラール」「プレイエル(1842年製/1830年製の複製)」「グラーフ」「ブッフホルツ」「ブロードウッド」の5つのメーカーの楽器が使用されます。
本家ショパンコンクールでも、ピアノメーカーの威信をかけた一台がいかほどの音色を聴かせてくれるのか、またメーカーの音色の違いに注目するのも、コンクールの別の楽しみ方になっていますよね。
それはこのショパン国際ピリオド楽器コンクールでも同じ! というかむしろピリオド楽器コンクールの方が、より楽器による音色の違いや、個性を楽しむことができるのではないでしょうか。
第1ステージが始まった当初はプログラムと照らし合わせながら、今どの楽器を使っているかを確認していましたが3日間会場にいるとだんだん聴き分けられるようになってきた気がします……!
と、いうわけで、今日はそれぞれの楽器がどんな音がするのか、完全に私目(耳)線で恐縮ですが、5メーカーのイカした仲間たちを紹介するぜ‼
1、ブロードウッド
イギリス生まれの最高にイカした野郎さ! まずこいつは見た目がキレイだぜ! ピカッピカさ! ステージライトに照らされたこいつの姿はマジで気高いんだぜ。
おっといけねー! 音の話だったな! こいつは音もキラッキラ、ピッカピカなんだ! おめーさんはルネサンス期の木の板に描かれた油彩絵画って観たことあるか? キラキラしるだろ? そんな輝きの音を想像してみてくれよな。
2、プレイエル
言わずと知れたショパンが愛用したメーカーだぜ。フランス生まれの最高にイカした野郎さ! パリにはこいつの創立者にちなんで「プレイエル通り」って名前の通りがあるぜ!
こいつはなんとも言えない柔らかい音がするんだ。おめーさんは小雨が降った後の霧の立ち込めている森に入ったことはあるか? 空気が少し温かくてしっとりとしているだろ。そんな音がするんだ。こいつは音の陰影をよく表現してくれるし、低音はとてもあったけーし、高音はお星さまみたいにキラキラさ!
ピリオド楽器コンクールでは、1842年製と1830年製の複製が使われていて、第1ステージでは1842年製が人気だったぜ。両方のモデルを使うコンテスタントもいたな! 音の違いが気になるか? 俺は1830年製の複製の方はどちらかとカラッとした音に聴こえたな。
オカダマドカさんが両方の楽器を使って演奏してるぜ! おめーさんの耳でも違いを感じてみてくれ!
個人的には「プレイエルで弾くバッハ」が味があって渋くてサイコー!っつーのが観戦の収穫の一つさ!
3、エラール
プレイエルと一緒に19世紀のパリを盛り上げた野郎さ! この中では一番モダンピアノに近い音がするぜ。とくにフォルテで弾くとな!
4、グラーフ
ウィーン生まれのクラシックな野郎さ! なんてったって、チェンバロに近い音がするんだぜ! ぴんッとした音がするのさ! グラーフで弾くポロネーズがまたなんとも言えねぇんだ! モダンピアノで聞き慣れている野郎たちはびっくりするだろうな! 勇ましく、気高い感じがするんだぜ!
5、ブッフホルツ
このブッフホルツは1825年製のものを、Mr.ポール・マクナルティが複製したものなんだぜ! オーマイガー! そんなことって信じられるか? 最高にイカしてるよな! 『月刊ショパン』ではポールさんにインタビューしたんだぜ! 公開を楽しみに待っててくれよな!
おっといけねー! 音の話をするぜ! ブッフホルツの音は、かわいらしい音なんだ! ブッフホルツはモーツァルトと最高のマリアージュを聴かせてくれるぜ。モーツァルトが最高にキュートに聴こえるのさ!
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こんな感じでお伝えしてみましたが、これはかなりざっくりした音色レビューです。なんといっても、ピリオド楽器の一番の特徴の一つは、奏者によって音色が変わることなのですから!
みなさんも配信で、ぜひ音の聴き比べを楽しんでみてください。
(文/東ゆか)