ショパン国際ピアノコンクール ピアノメーカーYamahaチーム

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ショパン・インスティテュート(NIFC)のパートナーとして全面協力


文・小笠原萠子 一般社団法人 日本ピアノ調律師協会 

(月刊ショパン2021年12月号掲載)

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 ヤマハコンサートグランドピアノ「CFX」は本選出場者87名中、9名のコンテスタントに選ばれるも、残念ながら3次予選までを進めることは叶わなかった。しかしながら前回2015年大会から、NIFC Narodowy Instytut FryderykaChopina のパートナーとして、ヤマハはコンクールの運営すべてのバックアップをしていることを忘れてはならない。

 例えばコンテスタント全員のみならず、審査員の滞在ホテルにもクラビノーバやAvant Grandを し出す等の協力の他、ショパンコンクールに限らずNIFCの目的であるショパンの音楽を広く世界に紹介するための活動(コンサート、レコーディング等)のサポートも行っている。それはワルシャワに支店とディーラーがあるヤマハにしかできないことで、その地道な努力に大きな拍手を送りたい。とかくコンクールを〝ピアノメーカーの戦い〞のようにマスコミは取り上げがちであるが、日本企業としての確固たる地道な貢献の姿勢は一貫しているといえる。



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 今回はピアノ技術5名(日本人3名、ポーランド人2名)の他、ヤマハチームとしてコンクールの結果の如何にかかわらず、アーティストファーストの支援で信頼性を構築している。

 今回使用された「CFX」は、試作品の中から厳選された一台。調律を担当した前田真也氏はコンテスタントのピアノ選定の1週間前、9月22日にロンドンから入り、限られた時間の中で〝ショパンの音楽にふさわしいピアノ〞を目指し調整にかかった。

 各社に割り当てられた時間は、6時間×3日間、累計で24時間だった。コンテスタントのピアノ選定時は5台のピアノが、けっして広いとはいえないステージに縦に並べられる。並び順はくじで決められる。しかし、ピアノの置き場所によって会場での音の響き方が異なってしまうため、公平を期してピアノの場

所は5人のコンテスタントが選び終わるごとにローテーションされる。

 特筆すべきは、たとえヤマハが長年応援してきたコンテスタントでも、自社のピアノを使うように契約することは一切しないとヤマハ・ピアノ事業部コンサートピアノ推進グループリーダーの田所武寛氏が断言していることだ。「ピアノの選定はアーティストの一生を左右するかもしれない選択です」ときっぱり。

 今回使用された「CFX」の特色は何だったのだろうか? 前田氏によると「音色がクリアで中低音には温かみがあり、パワーも兼ね備えているピアノ」ということだった。

 コンクールの調律師として苦労するところは? という問いに、「調律律作業は深夜に行われるので体力的に厳しいことも。何と言っても限られた時間の内で、ピアニストの要求に最大限に応えることが一番のプレッシャーです」と精神力、集中力が問われることを教えてくれた。

 万全の準備をし、本番の演奏を聴き、その上で修正すべきは修正を繰り返す。本戦が行われるフィルハーモニーホールにヤマハのピアノが納入される日を目指して、企業としての夢は続く。

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前田真也

ヤマハピアノテクニカルアカデミー卒業後2007年入社。工場研修の後、2009年から特器制作グループでプレミアムピアノの整音担当。2016年からはコンサート技術 として英国駐在中。  

田所武寛 

ピアノ事業 コンサートピアノ推進グループリーダー

松下紗永美

ピアノ事業 コンサートピアノ推進グループ主任

花岡昌範 

ピアノ事業 コンサートピアノ推進グループ、ショパンコンクール技術担当

横山俊介

Yamaha Music Europe マネージャー、ショパンコンクール技術担当

Michal Bednarski、Sebastian Grima

Yamaha Music Europe専属技術 、ショパンコンクール技術担当



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左から松下さん、田所さん、前田さん

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