演奏家の手の悩み

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解決!
演奏家の手の悩み
〜ピアノの症例を中心に

医学博士・工学博士
酒井直隆 著
A5判 88ページ 

本体価格1,200円+税
ISBN 978-4-88364-316-5

手をいたわりながら、練習や演奏を休まず、痛みを直すには? 痛みへの対処法から予防のための練習法、簡単にできるトレーニング法まで、豊富な事例に基づく実践的なアドバイスが演奏者の不安を解消します。


日本初の音楽家専門外来で30年近くにわたり人間工学と診察の双方から音楽家の手を診(み)てきた「手のドクター」が、楽器を演奏する人が直面する様々な身体の悩みに答えます。

腱鞘炎、指先や肘の痛み、関節痛、腰痛、肩こりーーーーーー

演奏休まずに、いかに治す


もくじ

はじめに

ケース1 腱鞘炎とバネ指
ケース2 肘の痛み
ケース3 手のひらの筋肉痛
ケース4 手の甲の痛み

  コラム1 右手を失ったピアニストたち

ケース5 指先の痛み
ケース6 小指の関節痛

  コラム2 ピアノの鍵盤幅は変えられないか?

ケース7 指先の冷え
ケース8 手のしびれと肘部管(ちゅうぶかん)症候群
ケース9 手根管(しゅこんかん)症候群
ケース10 親指の関節症

  コラム3 ショパンの知られざる遺作ーピアノ奏法書
   
ケース11 腰痛
ケース12 五十肩
ケース13 肩こり

  コラム4 病と闘うーあるピアニストの生涯

ケース14 ジストニア
ケース15 ジストニア・2
ケース16 ジストニア・3

  コラム5 ヘラクレスとスーパー・レディーーある超人的姉弟

ケース17 ガングリオン
ケース18 突き指の応急処置
ケース19 やけどの応急処置

まとめ 演奏家の手の故障の、あれこれ

あとがき

はじめに


 音楽家の手の障害の大部分は、演奏中にしか現れません。
 演奏を休めば当然、症状は消えるでしょう。しかし演奏を再開して症状が再発したのでは、休んだ意味がありません。音楽にかかわる者にとって、弾きたくても弾けないこと、それによって演奏テクニックが衰えてゆくことほど、辛く悲しいことはないはずです。
 この、音楽家の深刻な問題を解決するためには、「演奏を休まずに、いかに治すか」という発想が必要です。
 この考えで音楽家のための専門外来を始めて以来、四半世紀が過ぎました。
 この間に音楽に携わる人たちの様々な訴えを聞き、治療の過程で苦楽を共にしてきました。
 その中で音楽家の人たちが何を疑問に思い、不安に感じるかが次第にわかるようになってきました。この内容を問答形式で本にまとめたら、演奏家だけでなく、音楽教師や生徒たちにも役立つだろうと思い立ったのが本書執筆のきっかけです。
 ピアノを弾きすぎて手を痛めるとすぐに「腱鞘炎になった」と言う人が多いのですが、実際には腱鞘炎はピアニストの手の障害の三分の一にも満たない数でしかありません。残りの7割近くは腱鞘炎以外の、筋肉や神経にかかわる障害ですが、手術をしない、保存的な治療で済む例が大部分です。手指の究極の巧みさは微細な手の構造に支えられているのですから、たとえどんなに小さな手術であってもしないで済むに越したことはありません。
 特殊な病気として手指が勝手に動いてしまうフォーカル・ジストニアがあります。この病気は長らく、治療困難な病と考えられてきましたが、最近は発症してもステージに復帰したり、音大に合格できるまでに回復する例が出てきました。すべての例が回復するわけではありませんが、中には半年足らずで治癒した例もあり、演奏動作時にのみ症状が出現する音楽家のジストニアは、他のジストニア疾患とは一線を画すとさえ考え始めています。月刊『ショパン』連載分を単行本化するに当たり、フォーカル・ジストニアの項だけは最新の知見を加筆しました。
 

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