ショパンをめぐる女性たち

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表紙

ショパンをめぐる女性たち

著:萩谷由喜子 
A4判/184ページ
本体価格1,200円+税
ISBN 978-4-88364-301-1

月刊ショパン2月号に掲載し好評だった「ショパンをめぐる女性たち」に大幅加筆。ショパンの人生を縦軸に、ショパンに関わりのあった女性たちのストーリーを横軸にした、ユニークな本になりました。親しみやすい文章とイラストで、濃い内容ながらもとても読みやすい1冊です。



女性たちのライフストーリーを横糸に


 ショパン! この響きのよい名前は、もうひとつの語感のよい名前と対となってわたくしたちの脳裏に刻まれているようです。いうまでもなく、もう一つの名前とは「サンド」で、ピアノ音楽の作曲家ショパンが小説家ジョルジュ・サンドとロマンスを育んだ、という史実は、音楽ファンならずとも知らない方はほとんどおられないことでしょう。
 でも、ふたりの間柄は実際にはどのようなものだったのか? サンドとの恋愛がショパンに何をもたらしたのか? ロマンスの結末はどうなったのか? と一歩踏み込んでみると、どうもそこには霧のヴェールがかかっているように感じられるのではないでしょうか。
 また、ショパン関連書や作品解説などを読んでいると、しばしば、初恋の人コンスタンツィア・グワドコフスカ、婚約まで交わしたマリア・ヴォジンスカ、あるいは、謎の恋人、デルフィーナ・ポトツカ伯爵夫人、などといった魅惑的な名前が出てきますし、作品の献呈相手をみますと、その半数以上に貴族夫人か令嬢の名前を見いだすことができ、いったい、これらの見目麗しそうな女性っちとショパンとはどのような間柄であったのかしら、と想像力を刺激されてしまいます。
 さらに、ショパンとて人の子、当然、母なる女性が存在します。サンドにいわせれば、その母こそ、ショパンが生涯もっとも愛した女性だったとのこと。そして、彼が3人姉妹に挟まれたショパン家唯一の男児であったと知れば、その母と姉妹たちがどのような女性であったのか、彼女たちは彼にどのような影響を与えたか、という問題にも興味は及びます。
 そこで、ショパンをめぐるおもな女性たちをとりあげ、彼女たちのそれぞれがショパンとどのようにかかわったのか、反対に、ショパンと重ならない人生部分ではどう生きたのか探ってみようと思ったのが本書執筆の動機です。
 しかし、それだけでは枝葉と花にすぎません。やはり、全体を貫く大樹は、フレデリック・フランソワ・ショパンというピアノ音楽史上不世出の、体重45キロたらずの華奢な巨人の生涯です。ですから、この天才の39年の足跡をたどりながら、随所に、その生涯地点にもっとも大きくかかわった女性を配することで、相互の関連をより深くご理解いただけるように本書を構成しました。
 つまり、本書は、ショパンの評伝であると同時に、通常の評伝とは異なり、彼をめぐる女性たちのライフストーリーのオムニバスでもあります。18人の女性は、ジョルジュ・サンドやクララ・シューマンのような超大物から、ショパンとサンドの破局劇の立役者となったサンドの娘ソランジュ、その子孫は今も国際級の大金持ち一族であるロスチャイルド男爵夫人母娘、兄の楽才に匹敵するほどの文才に恵まれながら14歳で夭折した妹エミリアまで、多岐にわたります。いわば、大樹の枝葉と花である彼女たちのライフストーリーがショパンという大樹を形成しています。多彩な彼女たちの生涯を垣間見つつ、結果的にショパン全体像への理解を深めていただくことができれば、たいへん幸いに存じます。

                                                2010年6月 萩谷由喜子

もくじ


第1楽章 
     フランス人の父、ポーランド人の母

     ショパン一家、ワルシャワに移る
     ワルシャワ中学校〜ワルシャワ音楽院時代
     鉱泉地ライネルツで
     飛翔を夢見て協奏曲に着手する

第2楽章 
     失望のウィーンをあとにパリへ

     大枚24フランをオペラにはたく
     パリ・デビュー演奏会
     貴族社会の仲間入り
     両親との再会、マリアとの恋

間奏曲  ロベルト・シューマンとクララ・ヴィーク

第3楽章 
     ジョルジュ・サンドと出会って

     大樹を失って

第4楽章 パリに戻って
     最後の日々
     3つの遺言

     エピローグ
     資料編









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