バルトの目指すものは、言語がひとつの意味に凝固しない場所である。
それが、言語のどこにもない場所=ユートピアへの希求である。(諸田和治)
目次
一章 ロラン・バルトの遍歴と軌跡
1 「エクリチュールの零度」と「神話作用」の時期
2 「記号学」と「構造主義」とを武器とする時期
3 「ポスト構造主義」と「テクストの快楽」へと至る時期
二章 後期バルトについての素描
1 プレテクスト
2 作者の死
3 テクストの快楽
三章 変化する社会と言語ーーバルトのデジタルな足跡
1 構造主義と言語学
2 エクリチュール
3 神話作用または言葉の二重構造
4 文学の記号学
5 テクストと意味の多義性
四章 解読のためのキイワード
1 「批評と真実」
2 「作者の死」
3 「俳句、禅、悟り」
五章 砕かれた書物ーーテクストをめぐって
1 文学のリアリティ
2 単一の読みから複数の読みへ
3 「作者の死」という比喩
4 バルザックの小説「サラジーヌ」のテクスト分析
5 テクストを快楽として読む
6 野間宏のテクスト
六章 映像と映画へのバルトの執着
1 視線
2 映画映像
3 「第三の意味」
4 経歴と著作
七章 意味の解体と創造
1 表象の実存と意味作用の重視
2 意味するものと空虚
3 現代社会と神話作用
4 文学と不在の指示
5 付記
八章 言語への挑戦
1 変貌
2 意味の転移
3 ビオグラフィ断片
4 主要なテクスト
5 エクリチュールと零度
6 神話
7 文学
あとがき