闘うピアニストパデレフスキ自伝(下)

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闘うピアニスト
パデレフスキ自伝(下)

イグナツィ・ヤン・パデレフスキ/メアリー・ロートン 共著
湯浅 玲子 訳


■B5判/332ページ
■定価:本体1,500円+税
■ISBN 978-4-907121-59-4



「芸術家は、仕事を続けながら戦場で死ぬべきだ」

度重なる指の不調とスランプ、そして忍び寄る戦争の影。人気絶頂にあったパデレフスキを政治活動へと向かわせたものは何だったのか…

新たに書き下ろした補遺章「パデレフスキの生涯」掲載

下巻 ヨーロッパ演奏旅行から第一次世界大戦勃発まで(1892〜1914)

あとがき

 2012年の秋、株式会社ハンナ内藤克洋会長から、一本の電話があった。「パデレフスキの洋書が編集部に届いたので、翻訳して月刊「ショパン」に連載してほしい。いずれ全訳も出版したい」という依頼であった。後日、編集部を訪れると、机の上には船便で取り寄せたという古い洋書が置いてあった。それがこの原書との出会いだった。突然の依頼にも驚いたが、この原書との不思議な縁も感じていた。というのも、その2年前、月刊「ショパン」で特集「パデレフスキ生誕150年」を執筆した折り、その古い翻訳本を手にしていたからだ。そのとき取り寄せた翻訳本は、70年以上前のもので、紙が劣化し、普通には開いて読めないような状態だった。しかし、その崩れ落ちそうなページの中には、19世紀の音楽界を生き生きと闊歩するパデレフスキの姿が描かれていた。これまで筆者は、論文や原稿の執筆で、数々の伝記を読んできたものの、自伝に接する機会は少なかった。それだけに、伝記作家の主題や作為の入る伝記とは違う、自伝の魅力をその古書から感じていた。それはまさに混ざり気のない純粋なドキュメントであった。編集部でその原書を手にしたとき、数年前に抱いた静かな興奮が蘇った。
 全訳の作業は、月刊「ショパン」での連載「新訳パデレフスキ自伝」と平行して進めていった。月刊「ショパン」では、原書の全19章を、連載24回分に割り振って掲載した。紙面の都合から、連載で掲載できたのは、原書の四分の一程度の内容であった。連載では、全訳を大幅にカットすることになったが、今回の出版によって、連載では載せられなかったエピソードを多数ご紹介できたことはもちろんのこと、パデレフスキの少しくどい話し方など、彼の性格がより一層明確に浮き彫りになったのではないか、と思う。
 
 (後略)




                                                湯浅玲子

もくじ

下巻 

第10章 聴衆と政治的な迂回
第11章 2度目のアメリカ訪問
第12章 幕間の作曲家
第13章 ロシア演奏旅行
第14章 スイスの家
第15章 最速で上り詰めた頂点
第16章 オーストラリアとニュージーランド
第17章 ピアノへの嫌悪感
第18章 悲しい出来事
第19章 祭りの日
第20章 (補遺章)パデレフスキの生涯

あとがき 湯浅玲子






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