ピアノ消音ユニット取り付け作業の舞台裏

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ピアノ消音ユニットを取り付けて気兼ねなく音出しをしたい方、きっと多いはず。でも、大切なピアノに手を加えてしまうのは、やっぱり不安のほうが大きいかも……そんなお悩みを少しでも解決できるよう、今回はアップライトピアノ用消音ユニットの取り付け作業現場にお邪魔しました。消音ユニットの仕組みや取り付け作業について一緒に学んでみましょう。ピアノとの新しい生活、幕開けです。

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1. 鍵盤下センサーの取り付け

 作業はまず、鍵盤下に黒いセンサーレールを取り付けていくことから始まります。ここで取り付けられる「非接触式光センサー」が、弾き手のタッチを鍵盤の裏から電気信号として読み取り、ピアノ音源に変換させるという仕組み。ここで打鍵を正確に読み取るセンサーとして作動させることはもちろん、アコースティックピアノ本来のタッチ感を損ねることなく取り付けるには、繊細な作業が必要とされるそうです。特に、温度や湿度などといった環境から影響を受けやすい楽器だけあって、機器を取り付ける前に丁寧な整調を行い、鍵盤高さを揃えることが重要となります。




鍵盤の真横から見たセンサー。鍵盤を叩いてもセンサーと鍵盤自体はぶつかることがないので、タッチに違和感を覚えることはありません
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同じ一つのピアノでも88 の鍵盤の裏側を見てみると、その色みはバラバラ。光センサーが、鍵盤の動きを読み取りやすくするため、光が照射される面(鍵盤の裏)にシールを貼っていきます
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2. 消音バーの取り付け
 センサーを取り付けたあとに、消音ユニットの要である消音バーを取り付けていきます。普段ピアノは、ハンマーが弦を打ち、音を鳴らす仕組みですが、このバーを取り付けることでハンマーが弦に到達する前に動きをストップさせ、打弦できず音を鳴らさない仕組みとなるそうです。
 ピアノ内部のハンマーアクションを取り出し、消音バーを手慣れた手つきで差し込んでいく技師さん。セットを終えたら、再びハンマーアクションを戻します。
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 消音バー取り付け前後の内部。中央に緑色のバーが加わったことがお分かりになるでしょうか? このバーが、ハンマーが弦を打ち鳴らす前に動きを止め、結果的に消音となるのです。ちなみにバーも鍵盤下のセンサーもすべて取り外しができるので、ユニット取り付け後、消音機能が不要になった場合には元に戻すことも可能だそう
 打鍵の瞬間。ハンマーは動いていますが消音バーのあるおかげで弦を打ち鳴らしません
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3. ユニット機材の取り付け
 続いてはコントローラーの取り付けです。アコースティックと消音演奏時のモード切り替えのみならず、音色のセレクトや録音再生機能など、コンパクトな見た目ながらも多くの機能が搭載されているコントローラー。ネジでしっかりと固定していきます。
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消音モードへのスイッチ切り替えの役割のため、操作レバーと先ほど取り付けた消音バーをワイヤーでつないでいきます
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今回取り付けた消音ユニット、コルグ『KHP-2500L』は小型スピーカー付き。ピアノの下前板部分に取り付ける吊り下げタイプ。コントローラーとともに取り付けていきます
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4. ペダルセンサーの取り付け
コントローラーとペダルをつなぐ作業もお忘れなく。ダンパーペダルとソフトペダル、それぞれに黒色の専用センサーを取り付けたら作業は終了です








数時間の作業の末、ついに消音ピアノが誕生! 楽器が分解され電気が通される様子にどきどきしつつも、ピアノとの新たな生活をうと少しわくわくしてきませんか? ピアノの防音対策について悩みをお持ちなら、一度消音ピアノ・消音ユニットを検討してみてはいかがでしょうか。
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取材協力/株式会社コルグ、株式会社消音ピアノサービス

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