クラシック秘曲・珍曲・謎曲101選

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表紙

クラシック秘曲・珍曲・謎曲101選 
~あなたをクラシック通にする鑑賞法~

野崎 正俊 著


■四六判/224ページ
■定価:本体1,300円+税
■ISBN 978-4-907121-63-1


音楽は知れば知るほど楽しくなる!

音楽には人生と同じように謎やドラマがある!

 ルネサンスから現代に至るまでの101曲を取り上げ、難解な曲目解説ではなく、作品の誕生にまつわる秘密や作曲者の遊び心などを簡潔に解いたもの。曲ごとに(秘)(珍)(謎)(疑)(迷)(戯)(異)(変)(盗)(艶)(駄)等、ユニークなジャンル分けがされ、楽しく、読みやすい。これからクラシック音楽に親しもうとする人にとっては、その手掛かりとなるはずだ。
 またクラシックのソムリエを目指す人にとっても、ぜひ知っておかなければならない最低限の知識の一端として必読の1冊!

 

 

はじめに


 クラシック音楽は一般には永遠に演奏されるものだと考えられている音楽ファンは多いに違いない。しかし長い歴史の中では、ポップスと同様に流行り廃りが多い。
 例えば隠れた名曲、というのがある。今日では演奏されたり録音されたりする機会が少ないが、聴いてみると素敵な曲、という例である。逆に耳当たりがよいだけで深みに欠けるとか、あるいは特定の機会ないしは目的のために作曲され、その用途が済んでしまえば消えてしまう運命にある場合などが考えられよう。つまり時代とともに人々の音楽に対する好みが変化するにつれ、忘れられてゆく場合もあるだろう。このように歴史の中に忘れられてしまうにはそれなりの理由があるのは当然である。その一方で時代の流れからはずれてあまり演奏されなかった作品とか、目立つ存在ではなかった作品が、あらためて何らかの脚光を浴びるようになる場合もある。

 とはいえ有名無実、名曲駄曲を区分する基準に確たるものがあるわけではない。空騒ぎの楽想が好まれて、音楽的な内容の有無とは関係なしに名曲としてもてはやされている場合がある。しかもそれが大作曲家の作品であるとなると、クラシック音楽の場合でもブランド志向が大きく物を言っていることが理解されよう。

 本書はこのような様々な事情を抱えながら、堂々と存在したり、あるいは音楽の歴史の中に埋没したままになったり、さらには等閑視されそうな曲のいくつかをピックアップして光をあてようとすることを目的としている。最初から隠れた名曲や珍曲、秘曲探しだけを目的にしているわけではないので、既成の名曲とのバランスをとりながら読者が興味を持ってくださるような選曲を心掛けたつもりである。ただしあまりにも曲数が多いピアノ独奏曲、ピアノ伴奏の歌曲、それにストーリー性が強いオペラには多くの頁は割いていない。

 特にクラシック音楽の初心者を対象にした本書の性格上、楽曲構成の解説などは必要最小限にとどめてある。あくまでも作曲や演奏の裏にまつわるエピソードや作品が持つ独特の性格に触れて、新しい音楽の楽しみ方を提唱するのが目的であり、本書に接して読者が少しでも得をしたような気分になって音楽を聴いてくだされば、著者にとってそれ以上の喜びはない。

 本書で取り上げた曲の理由は各曲名の後ろに(  )書きした。当然いくつかのカテゴリーが重複することがあり、あくまでも著者の判断によるおおよその分類であるので、その辺りは読者の想像に委ねるところが大きい。

 秘曲 一般にはポピュラーではないが素晴らしい曲、あるいはもっと聴かれてしかるべきと思われる曲
 珍曲 珍しい曲であるが、秘曲というにはちょっと距離のある曲
 謎曲 作曲の課程や作品の内容に謎めいた秘密がひそんでいる曲
 迷曲 演奏者あるいは聴き手を迷わせる曲
 戯曲 遊び心に富んだ曲
 異曲 異版があったり、編曲などで原曲とは異なった曲として通用している曲
 変曲 編曲などによって新しい魅力つまり変化が生まれた曲
 盗曲 他人の曲や民謡などを利用して作曲された曲
 艶曲 艶聞に関係がある曲
 愛曲 他人だけでなく自分に対する愛、つまり自信過剰の曲
 恋曲 恋に関係する曲、愛曲に近いといってもよいかもしれない
 死曲 人の死に関係がある曲
 魔曲 魔法に関係がある曲
 医曲 医学的な効果を持つ曲
 怪曲 怪しげな謂われがある曲
 疑作 その作曲家の真作かどうか疑問がある曲
 擬作 他人の曲に似せて作曲された曲、贋作も含まれる
 偽作 他人の曲だが、真作者がだれか判らない曲
 駄作 有名曲ながら音楽的に空虚な内容の曲

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