ファヴォリータ[全4幕]ドニゼッティ作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

イタリアオペラ

G. Donizetti, La Favorita 1840
ファヴォリータ[全4幕]ドニゼッティ作曲

 
❖登場人物❖

アルフォンソ十一世(Br) レオノーラ・ディ・グスマン(Ms) フェルナンド(T)  バルダッサーレ(B) イネス(S) ドン・ガスパロ(T)他

❖概説❖

 「ニシドの天使」という未完のオペラをそっくり転用しているので、パリ初演の時は、その題名で上演された。その後さまざまに改題されたが、第二次大戦後は「ファヴォリータ」に定着した。日本語では「愛妾」とも訳される。現在ではイタリア語で上演されることが多い。

第一幕


 第一場 聖ジャコモ修道院の回廊。修道士たちが朝の祈りを捧げながら聖堂の中に入って行く。修道士フェルナンドは父親の修道院長バルダッサーレに、先日祭壇の前で祈っていた美しい女性に恋してしまったと訴える(「天使のような乙女」)。息子を世継ぎにと考えていた院長は彼の恋をいさめ、息子を修道院から立ち去らせる。
 第二場 レオーネ島が見える美しい浜辺。国王の愛妾レオノーラの侍女イネスがフェルナンドの舟の到着を待っている。眼隠しをされて島に着いたフェルナンドは、イネスにレオノーラの身分を尋ねるが、教えてもらえない。レオノーラが出迎えにやって来て、二人は愛の喜びの言葉を交わす。フェルナンドは彼女との結婚を望み直接身分を問うが、国王の愛妾であるのを恥じるレオノーラはどうしても明かそうとはせず、一通の手紙を渡して、事情を秘めたまま別れなければならないことを誓わせる。
 そこに駆けつけたイネスが国王アルフォンソ十一世の来訪を告げると、レオノーラは慌てて立ち去るので、フェルナンドは彼女が身分の高い女性であると思い込み、武勲を立てて彼女と結婚しようと決心する。


第二幕


 セビリャのアルカザール宮殿の美しい庭園を見渡す回廊。国王が式部官ドン・ガスパロを従えて現れ、フェルナンドの武勲をたたえる。ドン・ガスパロが、王妃をないがしろにしたことに怒った王妃の父バルダッサーレ修道院長がセビリャを訪れて来たと告げるので、国王は怒ってドン・ガスパロを去らせる。
 一人になった国王は、どんなことがあってもレオノーラへの愛は変わらないと彼女への愛をたたえる(「レオノーラよ、私の愛を受けてくれ」)。そこにレオノーラがイネスとともに入って来る。彼女はフェルナンドの武勲を知り、日陰者の自分の悲嘆を訴えて暇を願い出る(「私が生家を離れた時」)。しかし国王は彼女を優しく慰めて、王妃の祝宴の席に着くよう命じる。
 人々が集まった大広間でバレエが踊られた後、フェルナンドがレオノーラに宛てた恋文を差し押さえたドン・ガスパロが現れ、レオノーラの不貞の証拠として国王に差し出す。怒った国王はレオノーラに相手の男を問いただすが、彼女が答えないので、きっと白状させてみせると叫ぶ。
 そこにバルダッサーレが修道士たちを従えて現れ、キリスト教徒の義務を忘れて王妃をないがしろにする国王を責めるが、国王は事の決着を決めるのは王だと言い放つ。バルダッサーレは国王に法皇の名において破門すると言うので、法皇の前には王権もかなわないと国王は嘆く。レオノーラは恥と愛の間に悲しんで死を願い、廷臣たちはレオノーラの追放に賛成する。宮廷中大混乱の中に幕になる。


第三幕


 宮廷の大広間。一兵卒として出兵したフェルナンドが、愛に希望をふくらませて凱旋将軍として戻って来る。国王はバルダッサーレの忠告を聞かねばなるまいと言って、レオノーラを呼ぶ。そしてフェルナンドに気づいた国王は、彼に武勲の報酬を尋ねると、フェルナンドは折りしも現れたレオノーラを求める。国王は怒りを抑えて彼の望みに応じ(「レオノーラ、彼の愛にこたえて」)、一時間後に聖壇の前で結婚式をと言い残して、フェルナンドを連れて立ち去る。
 レオノーラは思いがけない結婚に喜び、フェルナンドへの愛を歌うが(「いとしいフェルナンドよ」)、国王の愛妾であった自分の身分をフェルナンドに知らせておかなければと、真実をフェルナンドに伝えるようイネスに頼む。しかし、レオノーラの背信を取り持った罪で彼女は捕らえられ、レオノーラの秘密はついにフェルナンドには伝わらない。
 結婚を祝うために宮廷中の人々が集まって来る。国王はフェルナンドをサモーラの伯爵とモンレアーレの公爵に任じ、自分の首から外した騎士の勲章を与える。不安に青ざめた顔をしてレオノーラが現れるので、フェルナンドは彼女の手を取って結婚式のために礼拝堂に入る。大広間に残ったドン・ガスパロや宮廷の人々は、国王の愛妾に手を出すとはと嘲笑(ちょうしょう)する。何も知らないフェルナンドが礼拝堂から出て来ても、貴族たちはだれも喜びの握手をしないので不思議に思う。そこに現れたバルダッサーレから真相を知らされたフェルナンドは激怒して復讐を叫び、国王の前で首から勲章を外して床に叩きつけ、剣をへし折る。あまりのことにドン・ガスパロや廷臣は後悔するが、悲しみにくれたフェルナンドはバルダッサーレに手を取られて立ち去る。


第四幕


 聖ジャコモ修道院の前。修道士や修道女が王妃の死を悼んでいる。バルダッサーレは娘の復讐をフェルナンドに託す。一人残ったフェルナンドは、いまだにレオノーラを恨みながらも彼女への愛が絶ち切れないでいると(「やさしい魂よ」)、尼僧姿のやつれきったレオノーラが死ぬ前にフェルナンドの許しを得ようと訪れ、苦しみのあまり十字架の前に崩れ伏す。礼拝堂から出て来たフェルナンドは倒れている尼僧がレオノーラであるのに驚き、すぐに立ち去るように言うが、息も絶えだえに彼女は事の真相を語ってフェルナンドの許しを請う。この言葉に感動したフェルナンドはついに彼女を許すが、レオノーラはこと切れ、フェルナンドは悲痛の声をあげる。





Reference Materials


初演

1840年12月2日 パリ・オペラ座

原作
パキュラール・ダルノー/「コメンジュ伯爵」

台本 
フォルス・ロワイエとギュスターヴ・ヴァエーズ/イタリア語

演奏時間 
第1幕39分、第2幕39分、第3幕39分、第4幕33分(ヴィオッティ盤CDによる)

参考CD
●バルビエリ、ライモンディ、タリアブエ/クエスタ指揮/RAIトリノ響・唱(WF)
●カサロヴァ、ヴァルガス、ミヒャエルス=ムーア/ヴィオッティ指揮/ミュンヘン放送管、バイエルン放送唱(RCA)
ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  





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