楽器の事典ピアノ 第3章 世界の代表的ブランド 欧米遍 世界的な名声を勝ち得た名器とその系譜

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世界的な名声を勝ち得た名器とその系譜

 ルネッサンス時代を背景としてイタリアで誕生したピアノは、当時の風潮に従って、華麗な絵画や彫刻で飾られた美術品であった。これに楽器としての生命、つまり音色の壮麗さと力強さを与えたのはオーストリアとドイツのゲルマン人のマスター(親方)たちで、これらの一部がイギリスに渡り、アングロサクソンの英知がこの楽器の機械化による工場生産に成功し、英国式のアクションを発明することによって、その価値を高めた。
 その後、ピアノはフランスのメーカーたちの手に渡り、フランス王朝風の趣向が加えられ、イギリスの無骨な構造が削り取られ、もとのイタリア風の優雅なデザインに戻された。ダブルエスケープメントアクションの採用によって、デリケートな演奏効果を生む楽器へと変貌したのである。
 しかし、残念ながら、フランスのメーカーたちは、当時、次々と建造され始めた壮大なコンサートホールに適応する楽器、およびダイナミックな演奏効果を主眼とした新しいピアノ音楽に適切なものを作り出すことを忘れていた。そのため、やがてアメリカが、総無骨の採用と音域の拡大、および強力なハンマーの適用によって最優位に立った。さらにドイツはこれらの改革をいち早く採り入れ、ヨーロッパでトップのピアノ生産国となったが、現在は日本が大量生産方式による生産の合理化と、品質の均一さによって、世界最高のピアノ生産国になっている。

 




 
改訂 楽器の事典ピアノ 平成2年1月30日発行 無断転載禁止


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