宮沢賢治歌曲集『ポランの広場』

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表紙

宮沢賢治歌曲集
ポランの広場


青島 広志 編曲 

表紙・イラスト 青島広志


■B5判/40ページ
■定価:本体1,200円+税
■ISBN 978-4-907121-09-9


まえがき

 世の中に「ケンジニアン」と称する宮沢賢治のファンは数多く、そして根強い。他にも詩人や小説家は数多いのに、これに匹敵するのはせいぜい中原中也と立原道造くらいのもので、三人とも夭折(ようせつ)したこと、作品が叙情的で透明感があること、独特の文体を持っていること、さまざまな解釈が可能な空白部分があることなどにより、神秘化されるのであろう。特に、生誕百年にあたる1996年には、日本中を上げての宮沢賢治祭りが行われた。
 筆者は、全くの宮沢ファンではなく、そうしたエスカレートぶりを傍観していたが、(株)ショパンの内藤克洋氏の勧めによって、宮沢賢治が残したとされる「歌曲」を、演奏に耐えるように編曲することに踏み切った。本来ならばこれは筆者の仕事ではなく、たとえば師と仰ぐ林 光(敬称略)のするべき仕事であるはずだったが、全曲の編曲を終えて初めて、宮沢ファンでないからこそ、客観的にこうした「歌曲」と向き合えたのだという思いが強い。
 明らかに、音楽作品としては弱いと思われる部分や、ほとんど伝説化している作曲の動機や、音符の異同なども、冷静に判断して、新しく作り変え、演奏会などで取り上げられるように編曲したつもりである。これが、ファンであれば、自分勝手に「賢治はこう考えて作ったはずだ」という思い込みの激しさで、作業を進めただろうが、何しろ本人はこの世を去っているのだし、遺族の方がたの証言にしても、これまた第三者としての意見が加えられている可能性が高い。
 願わくば、ここに収められた「歌曲」が、宮沢賢治ファンにも、またそうでない人にも受け入れられ、音楽会のプログラムを賑わすことを望んでいる。
 なお、筑摩書房「宮沢賢治の音楽」(佐藤泰平著・1996年刊)からは、重要な示唆を受けた。また、「太陽マヂックの歌」以外は、月刊「ショパン」1996年7月号〜10月号までに掲載された楽譜をもとにしている。
                
                                                   1996年12月26日
                                                      青島広志

もくじ

まえがき
曲目解説
星めぐりの歌
月夜のでんしんばしら
牧歌(「種山ヶ原の夜」の歌)
大菩薩峠の歌(大菩薩峠を読みて)
北空のちぢれ羊から
イギリス海岸の歌
剣舞(けんばい)の歌
太陽マヂックの歌
ポランの広場

曲目解説

星めぐりの歌

 宮沢賢治が作曲した歌のなかで、最も有名な曲であろう。大正7年夏(?)に書かれた童話「双子の星」のなかで、天の川の岸に住んでいる二人の童子が「星めぐりの歌」に合わせて銀の笛を吹く、という箇所があり、その歌がこれである。賢治の弟、清六氏によると、童話が書かれたころに、すでに本人は口ずさんでいたらしい。
 歌詞の初出は昭和8年11月、宮沢清六発行の「鏡をつるし」Bである。楽譜は「宮沢賢治全集」第2巻(文圃堂、昭和10年9月)が初出だが、自筆譜からの転載ではなく、口唱が清六氏、採譜が藤原嘉藤治であった。
 ト長調、2/4拍子、アレグレット、アウフタクトを持つ18小節、2番の有節歌曲として発表されている。

つづきは本楽譜をご覧下さい。

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