オーフロイデ! ベートーヴェン交響曲第九番〜歓喜の歌の発音とうたいかた〜 実践編  合唱は《第九》のメインディッシュ 宝仙学園短期大学 伊東慶樹

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合唱指揮者からのワンポイントアドバイス

 

合唱は《第九》のメインディッシュ     宝仙学園短期大学教授 伊東慶樹

 

 今回は《第九》を歌ううえでの基礎的なことや心がまえを中心に、多少技術的なことにも触れてみたいと思います。

I ) パートの問題(ソプラノ、アルト)

 《第九》を初めて歌う合唱団の場合、たいてい7:3の割合でアルトのパートが多くなります。ソプラノは高いイの音が多く要求されることが原因のひとつだと思いますが、たんに高音がでないということでアルトのパートに決めるのはまちがいです。これはあくまでも音色の問題で、日本人の場合、本当にアルトの音色をもっている人は少ないはずです。それに低い音域を広げることはむずかしいのですが、高い音は練習の段階で解決することができます。指導の先生によく声を聞いてもらって、勇気をもってソプラノに挑戦しましょう。

II ) テノール、バスについて

 アマチュア合唱団の場合、特に《第九》においてはテノールの数が不足しがちです。テノールの人は体系的にも背が低く、したがって声帯も短く、低音が出ないからテノールを歌うケース、つまりキーが3度、4度高い人がテノールには多いはずです。もちろんこのようなテノールも必要ですが、テノールの高いイは、実音は1オクターブ下の音なのです。(実音よりオクターブ高く記譜されている)ソプラノやアルトがこの音を出しても高い感じがしなくて、テノールがこの実音を出した場合、非常に良い効果をもたらします。低い音がわりと出る人は、高い音も出る場合が多いのです。このことはバリトンからテノールに転向したベルゴンチやコレルリにも例がみられます。ただテノールの高音は発声をマスターしないとむずかしいので、先生や、経験のある人を中心に発声研究会をもつぐらいの心がまえが必要だと思います。

III ) 第九の魅力について

 いよいよ合唱の練習に入るとき、本番の演奏までに必ず暗譜するという強い意志を持つことです。暗譜することによってオーケストラ全体の音が良く聞こえ、指揮者の音楽的欲求にも応じられ、自分でも信じられないような力を出すことができます。また、他にも合唱とオーケストラの名曲が数多くありますが、《第九》は合唱こそ演奏の主役だと思います。料理にたとえると、オーケストラの食前酒・前菜と進んでいよいよメインディッシュの合唱の演奏になるわけです。料理長の食事ができました——Freunde………のあいずのもと、すばらしい第4楽章の料理を体全体で楽しんでください。途中のソリストの演奏は食事の間のワインかお水のようなものです。(ソリストに失礼ですね)フィナーレの「Götterfunken, Götterfunken」は、まるで「オイシカッタ、オイシカッタ」のようにぼくには聞こえます。
 《第九》は万国共通の人間の愛、喜びを歌った人間讃歌だと思います。
 全国に《第九》を歌うFreudeの「ワ」を広げましょう。

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