横山幸雄ピアノQ&A136 から  Q14 子どもへの音楽教育のポイント

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音大を卒業し、地元でピアノ教師として小学生を中心に教え始めました。私自信は小さい頃からバイエルやブルクミュラー、ハノン、チェルニーと勉強してきたのですが、最近の子どもに同じようなパターンで教えていくのは非常に困難だと思い始めています。子どもにテクニックを教えるのに一番重要なことは何でしょう。


 もしかすると、日本ほど早期教育の進んでいる国はないかもしれない。職業ピアニストになるために、幼い時期の徹底的な訓練は必要だと思うし、楽しむためだけの音楽だとしても、早期音感教育による絶対音感を含む音楽の基礎的教養の習得は悪いものではないだろう。しかし、世の中、絶対的によいというものもなければ、すべての人に通用するものもないように、画一的な早期教育による弊害は少なからずあると思う。
 
 身近で聞く話によると、幼い頃にピアノをやらさせられてピアノが嫌いになった人はかなりたくさんいるらしいし、たとえ親や先生に反発しないいわゆる良い子であっても、体が出来上がる前の段階で無理に教えられたことが原因で、変なクセを長きにわたってひきずって直らない人も多い。具体的に書くと、小さな体に小さな手で大きな音や速いパッセージを強要されて、必要外の部分に力が入ってしまったり、きちんとした手の形や体の使い方を習っていないことによる非合理的な奏法で壁にぶつかっていたり……といろいろあるだろう。
 
 ごく幼い時期で一番大切なことは、まず音楽を好きになることである。どうしたら好きになるのか。最も大きな要素は、音楽をどれだけ聴いているかだ。いい音楽を聴いて何も感じなければ、ピアノを勉強しても進歩することはまずあり得ないし、その人の人生はとても寂しいものになるのではないかと想像する。
 「いい音楽」とは何か。僕にとっては幼い頃から、音楽とは当然のようにクラシック音楽であり、バックハウスのベートーヴェンやルービンシュタインのショパン……といったところがお気に入りの代表だった。そのときに聴いた音楽が、今の僕の血となり肉となっていて、他のジャンルの音楽を一生懸命やっている人には失礼かもしれないけれど、それらは僕の体の中に本来ある音楽とは違う。

 今の子どもたちはあらゆるところでいろいろな情報に接していて、幼い子どもたちがいい音楽とそうでないものを選ぶことは難しいかもしれない。堅いとか古いとか言われるかもしれないが、本物の演奏家になるためには本物のクラシック音楽以外の音楽は害になることすらあると僕は考える。しかし、単に趣味としてのピアノというのであれば、いろいろと楽しめるほうがよいと思うしそのために苦しい思いをする必要はまったくないとも思う。

 具体的にどう教えたらよいかということについては、ここではとても書ききれることではないけれど、まず「音楽が好きで楽しく努力出来る」という範囲にさえ収まっていれば、そう大きく道をはずれることはないと思う。

「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 2 学ぶ・教える」

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