蝶々夫人[全2幕]プッチーニ作曲  

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「詳解オペラ名作217 野崎正俊著  株式会社ハンナ発行」より

イタリアオペラ

蝶々夫人[全2幕] プッチーニ作曲

登場人物

蝶々夫人(S) スズキ(Ms) ベンジャミン・フランクリン・ピンカートン(T) シャープレス(Br) ケート・ピンカートン(Ms) ゴロー(T) 僧侶ボンゾ(B) ヤマドリ公爵(Br)他

概説

 ベラスコの戯曲は、J・L・ロングの小説によっている。ロング自身は来日したことはないが、宣教師の妻として長崎に住んだことのある姉から日本の知識を得たといわれる。日本の音楽を採り入れた異国情緒豊かなオペラであるが、前評判とは反対に初演は大失敗に終わり、改訂の上三カ月後にブレッシャで再演して大成功を収めた。

 

第一幕

 長崎の入江を見下ろす丘の上にある家の庭先。結婚周施人ゴローに導かれてアメリカの海軍士官ピンカートンが現れ、これから住む家の検分をして、結婚相手の蝶々さんの女中スズキや下男たちを紹介される。そして、ゴローから花嫁の家族などについて説明を受ける。やがて長崎駐在のアメリカ領事シャープレスがやって来る。彼はピンカートンから、これは束の間の気紛れの結婚であると聞いて不誠実な結婚をたしなめるが、アメリカ人気質丸出しのピンカートンは気にも止めない。そしてグラスを片手に「アメリカ万歳」と叫ぶ。

 そこに家族や女友達に囲まれて幸せそうな蝶々さんが到着する。ピンカートンに優しく迎えられた蝶々さんは一同に挨拶すると、シャープレスに問われるままに家が落ちぶれて芸者になった身の上話をする。シャープレスもピンカートンも、彼女が十五歳だと聞いて驚く。さらに彼女は昨日こっそり教会へ行ってキリスト教に改宗したと語り、持って来た仏像を捨てる。

 ゴローの合図でいよいよ結婚式が始まる。神官が結婚誓書を読み上げ、花嫁花婿が署名する。式が終わって一同が杯を酌み交わしていると、蝶々さんの伯父に当る僧侶ボンゾが恐ろしい剣幕で乗り込んで来て、蝶々さんの改宗を怒り、呪いの言葉をかける。ピンカートンは蝶々さんをかばってボンゾを追い返すが、親類縁者たちは彼女の改宗を罵り、勘当だと叫んで帰ってしまう。

 夕闇が迫った舞台には蝶々さんとピンカートンの二人が残る。泣き伏した蝶々さんはピンカートンになだめられ、家に入って夜の衣裳に着替えて庭へ出て来る。二人は星空の下で幸福に酔いしれ、甘美な愛を語り合う(「夕暮れは迫り」)。

 

第二幕

 

 第一場 蝶々さんの家の中。前幕から三年経っている。スズキがこれ以上蝶々さんの悲しみが増えないようにと神に祈っている。蝶々さんもアメリカの神様に祈るほかにないと言い、もうお金も底をついたと二人で嘆く。

 アメリカへ帰ったピンカートンはもう戻って来ないのではないかとスズキがつい口をすべらせるので、駒鳥が巣につくころには戻って来ると言ったピンカートンの言葉を信じている蝶々さんは彼女を叱りつけ、ある晴れた日に彼が戻って来ることを夢見て、いじらしい気持ちを歌う(「ある晴れた日に」)。

 そこにシャープレスがピンカートンから来た手紙の内容を伝えにやって来る。蝶々さんが訪問をあまりにも喜ぶので、彼は伝言を話すきっかけがつかめない。その間にゴローは、連れて来たヤマドリ公爵を新しい結婚相

手として紹介しようとしつこく蝶々さんにつきまとうが、結局追い帰されてしまう。

 ようやくシャープレスは手紙を取り出して読み始める。蝶々さんはその言葉のひとつひとつに一喜一憂するので、なかなか肝心のところまで読むことができない。そして、アメリカで正式に結婚したピンカートンがもう帰らないことをそれとなく示唆すると、蝶々さんはそれならまた芸者に戻るか死を選ぶと言う。シャープレスはヤマドリ公爵の求婚を受け入れるように勧めるので、蝶々さんは怒るが、気を取り直してピンカートンとの間に生まれた子供を見せて涙ながらに訴える。シャープレスはたまらずに同情の言葉をかけて別れを告げる。その時、スズキはゴローがまだ家の周りにいるのを見つけて追い返す。

 突然港から大砲の音がして、ピンカートンの乗艦が入港しているのが見える。驚き喜ぶ蝶々さんとスズキは、桜の花びらを摘んで部屋中に撒き散らす(花の二重唱「桜の枝をゆすり、花びらを敷き」)。蝶々さんは結婚式の時と同じ衣裳を身に着けると、障子に三つの穴を開ける。その穴から港の方をのぞきながら、子供とスズキの三人でピンカートンの帰りを待つ。月の光に三人の姿が障子に美しいシルエットを描く。

 第二場 同じ場面。朝が明けると、寝ずに夜を明かした蝶々さんは子供をあやしながら寝室に入る。そこにピンカートンとシャープレスがそっと現れる。スズキは蝶々さんがいかにピンカートンの帰りを待ちわびていたかを物語る。そして庭先にピンカートン夫人ケートが立っているのを認める。シャープレスはケートに子供を預けるようにスズキに協力を求めるので、スズキは困惑する。深い後悔の念にかられたピンカートンは、いたたまれずに走り去る(「愛の家よ、さようなら」)。

 そこに目を覚ました蝶々さんが現れ、庭にピンカートンの代わりに見知らぬアメリカ婦人が立っているのを見てすべてを悟る。シャープレスの言うように子供を夫に渡すのを了承すると、蝶々さんは皆を立ち去らせる。一人になった蝶々さんは、父の形見の短刀を取り出して〝恥に生きるよりも名誉に死ぬ〞と刻まれた銘を読む。その時スズキに押し出されるように入って来た子供を抱き上げて別れを告げ(「かわいい坊や」)、子供に目隠しをする。そして蝶々さんは屏風の陰に入り、短刀で自害する。彼女は遠くから「蝶々さん」と叫びながら近づいて来るピンカートンの声を聞きながら、子供の方に手を伸ばしつつ息絶える。

 

参考資料

初演 1904年2月17日 ミラノ・スカラ座

原作 デイヴィッド・ベラスコの同名戯曲

台本 ルイージ・イッリカ、ジュゼッペ・ジャコーザ/イタリア語

演奏時間 第1幕55分、第2幕90分

参考CD

  • フレーニ、ルートヴィヒ、パヴァロッティ、カーンズ/カラヤン指揮/ウィーン・フィル、ウィーン国立歌劇場唱(D)
  • テバルディ、コッソット、ベルゴンツィ、ソルデッロ/セラフィン指揮/ローマ聖チェチーリア・アカデミー管・唱(D)

参考DVD

  • フレーニ、ルートヴィヒ、ドミンゴ、カーンズ/カラヤン指揮/ウィーン・フィル、ウィーン国立歌劇場唱(D)
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